MA-1フライトジャケットは、これまで米軍向けにデザインされた衣料品の中でも非常に人気の高いアイテムです。
このジャケットの正式名称は、「ジャケット・フライヤーズ・男性用インターメディエートタイプMA-1」(MIL-J-8279)といいます。アルファインダストリーズは、1950年代以降一貫してこのMA-1を生産してきました。1950年代から今日に至るまで、アルファは米軍向けMA-1ジャケットの供給における最大にして実質的に唯一のメーカーです。
MA-1ジャケットが最初に開発されたのは、1940年代後半。ジェット時代の幕開けとともに、パイロットの快適さと安全性を保つために新しいフライトジャケットが必要とされました。ジェット機の開発前には、フリースで裏打ちされたレザージャケットが使われていましたが、新しいジェット機はプロペラ機に比べ、これまで以上の高度を従来よりさらに低温の中で飛行できる能力を備えていました。
つまり重くてかさばるレザージャケットでは雨や呼吸によって湿ってしまうと、高度が高いところではその水分が凍りつき、使い物にならなくなってしまいました。加えて新しいジェット機はデザインがスリム化されたことにより、かさばるレザージャケットよりも、スマートで軽量、かつ保温性に優れたジャケットが必要とされたのです。
こうしたニーズに応えるため、新しいタイプのフライトジャケットが開発されました。
このジャケットのために選ばれた材料が高品質のナイロンです。
ナイロンは第二次世界大戦に先立って発見されていましたが、飛行用衣料に使われるようになったのは戦後になってからのことです。おそらく戦時中は、パラシュートはじめとするアイテムに、ナイロンが使われていたためでしょう。
最初のナイロン製フライトジャケットがデザインされたのは、1944年ごろ。これが、B-15フライトジャケット(MIL-J-6251)と呼ばれるものです。
このB-15ジャケットは、ムートンの襟付きである点を除き、MA-1とほとんど違いはありませんでした。
B-15の生産が中止され、MA-1が導入されたのはこの数年後のことです。
MA-1が米国空軍および海軍のパイロットとフライトクルーに初めて支給されたのは、1949年から1950年の間のことでした。
また少数ですが、MA-1ジャケットは陸軍航空隊員にも支給されました。アルファインダストリーズが最初に政府契約を結んだのは(MIL-J-1958B)、前身のダブスインダストリーズ時代の1958年のことです。
今日ではアメリカ政府は、MA-1ジャケットの発注を飛行関係の要員向けではなく、公安警察や基地の整備要員、通信網の修理要員など、地上要員向けに限っています。パイロット及びフライトクルーには現在、CWU 45/Pジャケットが支給されています。
その結果、オレンジライニングのMA-1はフライトジャケットの歴史上、特別な位置を占めるに至ったのです。